2011年04月01日

元『ジャズ批評』編集長・音楽ライターの原田和典さんに聞く、ジャズの聴き方

10年くらい前からジャズってハマると面白そうだなぁとは思っていた。けれども、約100年の歴史があるだけに、ジャンルも細分化されているし、理論なんてものもある。何だかややこしそう、という「ジャズの壁」を感じていた。なんとなくBGMとして軽〜く聴くままで生涯を終えるような気がしていた。

ところが、『kotoba』でお世話になっている原田和典さんが、実は雑誌『ジャズ批評』の元編集長で、『世界最高のジャズ』(光文社新書)など、著書も多数だしていることを知った。この機会にジャズ開眼させてもらおうと、早速お話を聞きに行った。


元編集長なのに「いやいや〜、とんでもないですよ」と、絶対に偉ぶることのない原田さん。(本当にいつもご無理を言ってすみません)
謙遜は、真にジャズの何たるかを知っているからこそ。その発言に私は衝撃を受けた。

 「ジャズはエンターテインメントだと思うんですよ。ジャズは芸術だと言う人もいま
 すが、僕にとって芸術もエンターテインメントの一種。自分の表現で他人の心を動か
 すことはすべて、映画も文学も芸術もエンターテインメントだと僕は思っています」

ジャズという音楽を芸術かクラシックのようなハイカルチャーに近いもののように考えていた自分に気づく。

さらに、「クラシックもただ昔に出来たから古典と呼ばれているだけで、当時からするとポップスですよ」と言う。

原田さん01.jpg


もしかすると、幼い頃から当たり前のように音楽を聴いていたから出る言葉かもしれない。原田さんの父親が日劇ウエスタン・カーニバルや米軍キャンプで演奏したりもするミュージシャンだったため、家には沢山のレコードがあった。幼いころからジャズはもちろん、洋ロック、ポップスも空気を吸うように聴いて育った。そして19才の時に、たまたまジャズ喫茶で編集部に欠員が出たことを知り、『ジャズ批評』にアルバイトとして入社する。以後はジャズについて猛勉強し、30歳の時に編集長となった。

5年ほどで独立したのは、活躍する範囲やジャンルを狭めたくないからだ。最近では、原田さんが選曲したジャズのコンピレーションアルバムが3月に出たほか、5月には忌野清志郎関連イベントでの解説もやる。そして、いま「やっとAKB48の良さがわかってきた」と言う。横浜アリーナでのチケットも取り、ライブを見て、真偽を見極める準備もしていた。

すべての音楽を、熱狂できるかどうか、という物差しで聴く原田さんは言う。

 「演奏しているのは同じ人間ですから。海外から日本に来るまでの間に、格調高いイ
 メージがつけられたりしているかもしれないですが、ジャズはアメリカでは5ドル、
 10ドルでも楽しめるものです。子供もそれで踊ったりしてるんですから、難しいな
 んてことはまったくない。普通にご飯を食べたり、味噌汁飲んだりするように聴いて
 もらいたいです」

ベスト・ヒット100~ジャズ・ヴォーカル編 / オムニバス, アニタ・オデイ, ペギー・リー, カーメン・マクレエ, モーガナ・キング, ロレツ・アレキサンドリア, リタ・ライス, ビリー・エクスタイン, ジョニー・ハートマン, エラ・フィッツジェラルド&ルイ・アームストロング, サラ・ヴォーン (CD - 2011) ベスト・ヒット100~ジャズ・スタンダード編 / チャーリー・パーカー, ウェス・モンゴメリー, セロニアス・モンク, ベニー・カーター, スタン・ゲッツ&ビル・エヴァンス, アーマッド・ジャマル, カイ・ウィンディング, ディジー・ガレスピー, カウント・ベイシー・オーケストラ, ジョニー・グリフィン (演奏) (CD - 2011)
原田さん選曲のCD。左から、コンピレーション『ベスト・ヒット100〜ジャズ・ヴォーカル編』、
『ベスト・ヒット100〜ジャズ・スタンダード編』(共にユニバーサルミュージック)



そんな原田さんが尊敬するジャズミュージシャンの一人がマイルス・デイビスだ。

 「マイルス・デイビスはマイケルジャクソンやシンディ・ローパーなどをすごく意識
 していていました。マイルスが60才の時、ジャズ奏者として地位が確立されている
 にもかかわらず、もっと売れたい、彼らくらいの大ヒットを出したい、子供たちにも
 自分の音楽で踊ってもらいたいというようなことを言っていたそうです。それってす
 ごく大切なことだと思います。その一言において僕はマイルスを尊敬しています」


かつてアマチュア・バンドを組み、今もステージに立っている夢を見ることがあるという原田さんは音楽家の自己満足や慢心というものに厳しい。

 「表現行為をやるひとが、分かるひとだけが分かってくれればいいんだ、と言うのは
 野暮だと思うんです。多くのひとに受け入れられる努力を、努力を感じさせずにシラッ
 とやってしまうのが、表現者として粋なんじゃないかと思うんです」


また、単に人に厳しいだけでなく自分にも厳しい。

 「ミュージシャンの友達はいない。いるとマズイじゃないですか。お勧めできないも
 のでも勧めてしまったりするかもしれない」「CDを聴いて、ライブに行って、イン
 タビューして、自分でお金だして現場に行く人が本当の評論家だと思うし、自分が評
 論家になってもそうありたい」


しかし、原田さんと話していて感じるのは厳しさではなく、すべての音楽をハートで聴く、熱いパッションなのだ。

 「ジャズを知らないで人生を終えるのは、もったいない。聞いてダメだったら仕方な
 いけれど、そうじゃないひとには、おせっかいかもしれないけれど、聞いてください
 と言って回りたいくらいです」


原田さん02.jpg

実はビル・エヴァンスの『ワルツ・フォー・デビィ』しかまともに聞いたことがないことを伝えると、「ビル・エヴァンスの他の作品にいくのもいいけれど、他のメンバーがいま何をやっているかを聞いてもらえると面白いと思います!」とジャズ鑑賞を広げる方法を教えてくださった。

 「そのアルバムでドラムをたたいているポール・モチアンは、今も現役。この3月で
 80才ですが、NYで誕生日ライブを3週間やります。3つのライブをかけもちして、
 命をかけてやる。しかも、彼は昔よりすごくなっていて、思うがままに叩いて、それ
 でいて素晴らしい演奏をする。<ドラムを60年やっているから身体の一部になって
 いて、目をつぶっていても叩けるのさ>と言うんです!」


ロックミュージシャンはその人となりが重要だったりするが、それはジャズも同じ。

 「ジャズはミュージシャンひとりひとりの個性を聞くもの。その個性が一番あらわれ
 るのが即興の部分です。とにかくいっぱい聞いてみて、気にいる語り口や音色のミュ
 ージシャンがいれば、そこからどんどん世界を広げてくれればいいと思います」


ジャズは近いところにあるのに、私のほうがジャズに距離を感じていたのかもしれない。そんなことを原田さんにお会いして思った。これを書いている間にも、ジャズは取っつきにくいと思っていた頃の感覚がよく思い出せなくなってきている。

うまくジャズ開眼できそうです♪ ありがとうございました♪


■原田和典「ブログ人」


★原田さんの活動をもっと知りたい方は以下のURLをクリック!
・「原田和典のジャズ徒然草」 
http://diskunion.net/jazz/ct/news/archive/6/1

・「原田和典のHOUSE OF JAZZ」
http://www.clinck.co.jp/merurido/_friends/00009/index.php

・「Bloggin' Blue Note Tokyo by 原田和典」
http://www.bluenote.co.jp/jp/movie/bnt/

・「忌野清志郎を極める!」5月1日(日)18:00〜 国立 NO TRUNKS


posted by 若手 at 11:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | ふく子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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