2010年08月06日

レーシングドライバー塚越広大選手に聞く、時速300km/hオーバーの世界

時速300km/hを超える世界で競い合うスポーツ――。

プロ野球の投手が投げる球も速くておよそ150 km/h、テニスプレイヤーが放つファーストサーブのスピードは200 km/hを超えるくらい。
自分の体が移動する、スキーやボブスレーの選手にしても、200 km/h以下のスピードを感じているに過ぎないのではないだろうか。

「他のスポーツとは比べようもない速度域。見えている景色も全然違います」

と語るのはレーシングドライバーの塚越広大選手(23)だ。
現在、フォーミュラ・ニッポンとスーパーGT(500クラス)という日本のモータースポーツのトップカテゴリーに参戦している。

スーパーGT02.jpg

塚越選手が乗るスーパーGTのマシンは、今年デビューしたホンダの「HSV-010 GT」



昨年、タカハシはレース関係者を通じて塚越さんと知り合う。
そして、3月のスーパーGT開幕戦が行なわれた鈴鹿サーキットで、塚越さんの戦う姿を目の当たりにし、その力強い走りにすっかりファンになってしまった。

その場で、ふと思った。
まさに新幹線級のスピードの中を競い合うレーシングドライバーとは、レース中はどういった状況に置かれているのか?
サーキット場で観戦しているだけではわからない、レースの裏側を塚越選手に聞いてみた。

まずタカハシが思ったのは、クルマを走らせる時は当然ひとりなわけで、レース中のドライバーってとっても孤独なんじゃないか? ということだ。


「サッカーや野球と比べれば個人競技的なところはあります。
でも、そんなに孤独感はないですよ。レース中には無線でチームとやりとりをしますしね」



それに戦っているのはドライバーひとりというわけではない。
モータースポーツとは、あくまでチームプレーで成り立っているのだと言う。


「クルマを仕上げるメカニックが何人もいて、そのクルマをセッティングするエンジニア、マネージャー、監督、そしてドライバーがいます。
さらに僕らを応援してくださるスポンサーの方々もいる。
走っているのはドライバーひとりですが、それを支えてくれる人たちは大勢いるんです」



タイヤ交換や給油などを行なうピット作業も、スタッフとメカニックの力の見せ所。チーム一丸となって取り組む。
世界最高峰のフォーミュラレース「F1」ともなれば、何百人というスタッフがクルマ作りに関わっている。それがモータースポーツの現実だ。

ドライバー自身への負担もハンパなものではない。
加速時、減速時、さらにはコーナーによっては数秒間ものあいだ、4G、5Gという強烈な加重がレース中のドライバーにのしかかる。例えば首には、頭部とヘルメットを足した重さの4倍や5倍の力がかかるわけだ。それを50周や60周続けるのだから、レースというのはまぎれもないスポーツであり、過酷な一面も存在する。


「フォーミュラ・ニッポンの場合、パワーステアリング装置がついてないので、最初に乗ったときはほんとうに重く感じました。壊れてるんじゃないの?って思うくらい(苦笑)。
ブレーキにしてもすごく硬いんです。レース中は100kg〜150kgくらいの力で踏み込んでいます。思いっきり蹴飛ばしているような感覚ですよ」



それらの動きをドライバーは、ハイスピードの中でサーキットの状況を瞬時に判断しながらクルマを操っている。例えば時速300 km/hで走行中にコンマ1秒でもブレーキの判断が遅れただけで、かなりの距離を進んでしまうということになる。
一瞬一瞬の判断が重要であり、少しのミスが勝敗を左右する世界……。
レーシングドライバーにも他のスポーツ同様、ケタはずれの集中力が求められるのだ。


「レース中は心拍数もかなり上がります。そのため常に正しい判断ができるようトレーニングが必要になってきます。有酸素系のトレーニングはすごく大事ですね。基本は走ること。長距離を走る場合もありますし、なわとびして、走って、最後ダッシュみたいなインターバルトレーニングを先日もやってきたばかりなんです」


ただし、レーシングカーのコックピットは一人のドライバーが運転するための必要最小限の空間しかないため、マラソン選手のように小さくて強い筋肉をつける必要がある。
短距離走の選手のような大きい筋肉をつけてしまうとエネルギーの消費も激しくなるうえ、体にかかるGもその分、大きなものになってしまうからだ。

今シーズン、塚越選手はフォーミュラ・ニッポンの第2戦で2位表彰台を獲得し、スーパーGTの第5戦では金石年弘選手とともに優勝という結果を残している。

GT優勝02.jpg

スーパーGTの第5戦「スポーツランド SUGO」で優勝し、喜びを爆発させる塚越選手(左)


フォーミュラ02.jpg

雨の中、フォーミュラ・ニッポン第2戦「ツインリンクもてぎ」で快走。2位表彰台をつかんだ。



そして塚越選手は今、いい結果を出すため“レースで強いドライバー”になることが一番大事だと感じているという。

クラッシュせず最後までしぶとく走る強さ、自分やクルマの調子が悪くても少しでもいい結果を残す強さ、何かトラブルがあっても挽回する強さ、置かれている状況をよりよくする強さ……。
「それがドライバーとして、チームを引っぱる力につながっていくと思うんです」

一見、物腰柔らかな好青年という印象の塚越さんだが、レースへのこだわりを語るときの表情はアスリートそのもの。
次のレースは今週末、フォーミュラ・ニッポン第4戦が栃木にある「ツインリンクもてぎ」で開催される。最後に意気込みを語ってくれた。

「前回、表彰台に乗ることができた『もてぎ』はボクの地元。ですから、なんとしても初優勝を飾りたいという気持ちがあります。GTでの優勝の勢いに乗ってがんばりたいと思います」

広大さん02.jpg

6歳からカートはじめ、レースにのめりこんでいった塚越選手。料理好きという意外な一面も。


塚越広大 オフィシャル ウェブサイト


posted by 若手 at 15:43 | Comment(1) | TrackBack(0) | タカハシ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちはー!
ドライバーの人ってただ運転しているだけでは無いんですね。。。知りませんでしたーww
ちなみに塚越広大ってなかなかイイ男ですねww
Posted by smile at 2010年08月10日 15:20
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